脳卒中 片麻痺の理学療法で正しいのはどれか

脳卒中 片麻痺の理学療法で正しいのはどれか

24 脳卒中片麻痺の上肢に対するCI療法(Constraint induced movement therapy)で正しいのはどれか。

1.非麻痺側上肢を拘束する。

2.理学療法士の近位監視下で行う。

3.疼痛が少しでもあれば適応とならない。

4.他動的関節可動域運動を長時間行う方法である。

5.患側手指がBrunnstrom法ステージⅡで適応となる。


目次

【解説】

CI療法(Constraint induced movement therapy)

脳卒中慢性期における片麻痺患者の上肢機能の回復を目的としています。

方法は、健側上肢をミトンやスリングなどで拘束しながら、段階的に麻痺側の上肢機能を回復させます。

Taubらの定めた基準を元に、日本でも兵庫医科大学などで基準が作られております。

最近では、脳卒中ガイドラインにも取り上げられています。

適応の基準(兵庫医科大学による基準)

以下の5つの項目を全て満たすことが基本となっています。

①麻痺側の母指を含めた3指のIPおよびMP関節で10度以上、かつ手関節で20度以上の随意的な伸展が可能であること(参考文献PDF)。

②重度のバランス障害や歩行障害がなく、セルフケア(食事、トイレ、歩行など)が自立していること。

③日常生活に支障となる明らかな認知症や精神疾患、高次脳機能障害(失行、失語、失認)を認めないこと。

④肩・肘に亜脱臼、肩手症候群や重篤な疼痛がないこと。

⑤医学的にコントロールできない重大な合併症(高血圧、不整脈、心大血管疾患、痙攣発作など)がないこと。

実施方法

標準的なCI療法のプロトコルは、セラピストがマンツーマンで一日6時間程度の訓練を実施し、健側の拘束を活動時間(起きている時間)の90%です。

例えば、朝8時に起きて、22時(夜10時)に就寝する人の場合、起きている時間が14時間となります。

その90%となると、12.6時間が健側の拘束時間ということになります。

兵庫医科大学では、(参照PDF)

一日6時間程度の訓練を実施。

健側の拘束時間も訓練時のみとした取り組みがなされています。

また、患者自身の自主訓練を訓練時間全体の60%としてあります。

解答

1.(正解は、選びやすいのでは。)

脳卒中 片麻痺の理学療法で正しいのはどれか

毎週木曜日は国家試験の問題と解説をしてきます!!
*あくまで療法士活性化委員会としての解説なので確実な正答を保証するものではありません。必ず自分で調べましょう!

脳卒中後の左片麻痺患者に対するADL練習として正しいのはどれか。

  1. 上衣を右上肢から着衣する。
  2. 浴槽に右下肢からまたいで入る。
  3. 階段を上るときに左下肢を先に出す。
  4. 階段を下りるときに右下肢を先に出す。
  5. 車椅子からベッドに移乗するときに左半身をベッドに寄せる。

解答

2

解説

脳卒中後の左片麻痺患者の場合、一般的に麻痺側側が非麻痺側に比べて感覚低下、運動機能の低下が起きます。なのでADL動作を行う場合は非麻痺側の残存機能を利用する形で行うと動作が行いやすくなります。

問題文でかんがえてみると

  1. 上衣を右上肢から着衣する。
    →左側の方が運動機能の低下が見られるため、先に左側から通す。
  2. 浴槽に右下肢からまたいで入る。
    →これは正解です。
  3. 階段を上るときに左下肢を先に出す。
    →先に出した足に重心を移動し、体を引き上げるため、これは右足から出します。
  4. 階段を下りるときに右下肢を先に出す。
    →後に下ろす足で体の落下を制御するので左下肢から先に出します。
  5. 車椅子からベッドに移乗するときに左半身をベッドに寄せる
    →非麻痺側への移乗がリスクが少ないため右半身をベッドによせます。

なので解答は2になります。

これを臨床で活かすには?

動作訓練を行う場合に2つの目的をまず確認する必要があります。

日常生活

機能訓練

  • 日常生活の場合

「目的とする動作を行えること」が前提となります。機能制限がある場合は機能的なアプローチや改善が難しい場合は自助具や介助を利用して「目的のADL」ができることを目指します。生活環境によっては、問題にあるような基本的な決まりごととは逆の場合も考えられるので、その人に合わせた動作の指導を行う必要があります。

  • 機能訓練の場合

動作による機能、能力の向上が目的となります。身体機能を上げたい場合は、介助や自助具はなるべく使わないようにし、身体機能の維持向上を図る方法を選択します。

このように動作訓練でも目的と環境によって方法は異なります。「片麻痺患者だから」というくくりで動作を決定するのではなく、対象者の目的と状態を評価し、動作を決定しましょう。

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