毎週木曜日は国家試験の問題と解説をしてきます!!
*あくまで療法士活性化委員会としての解説なので確実な正答を保証するものではありません。必ず自分で調べましょう!
問 健常成人の血圧に関して正しいのはどれか。2つ選べ。
- 背臥位では立位に比べて脈圧が小さい。
- 足関節上腕血圧比の基準値は 1.5〜2.0 である。
- 上腕部では足部と比べて収縮期血圧が低くなる。
- 座位での測定はマンシェットを心臓の高さに合わせる。
- Korotkoff 音が聞こえなくなった時点での圧を収縮期血圧とする。
解答
3,4
解説
血圧とは血液が動脈の内側にかける圧力の数値になります。心筋が収縮しているときの血圧を収縮期血圧、心筋が拡張しているときの血圧を拡張期血圧といいます。
心臓に近いと高くなり、遠いと低くなります。
収縮期血圧から拡張期血圧を引いたものを脈圧といい、この値は血管の柔軟性が失われていくと差が大きくなります。
収縮期血圧は臥位>坐位>立位、拡張期血圧は立位>坐位>臥位となります。
上腕と下肢では下肢で測定した場合、若干高くなります。
足関節上腕血圧比(ABI)、足関節収取期血圧/上腕収縮期血圧(左右の高い方)があり、正常は0.9≦ABI≦1.4となります。
正常より低い場合は下肢動脈狭窄の疑い、高い場合は石灰化が疑われます。
血圧測定では気圧の影響を考慮し、マンシェットを心臓と同じ高さに巻きます。
続いてKorotkoff音が聞こえなくなるまで加圧し、徐々に減圧していきます。
- Korotkoff音が聞こえ始めた時点を収縮期血圧
- Korotkoff音が再度聞こえなくなった時点を拡張期血圧
とします。
これを問題文にあてはめると
- 背臥位では立位に比べて脈圧が小さい。
→これは大きくなります。 - 足関節上腕血圧比の基準値は 1.5〜2.0 である。
→基準値は0.9≦ABI≦1.4です。 - 上腕部では足部と比べて収縮期血圧が低くなる。
→低くなります。なので正解。 - 座位での測定はマンシェットを心臓の高さに合わせる。
→正解です。 - Korotkoff 音が聞こえなくなった時点での圧を収縮期血圧とする。
→聞こえなくなった時点は拡張期血圧です。
なので回答は3,4となります。
余談ですが、血圧と血管の関係をまとめると
- 心臓からの血液の多さ
- 血管の広さ
- 体内の血液の多さ
- 血液の濃度
- 血管の柔軟性
が関係しています。
これを臨床で活かすには?
血圧は体の状態を理解するのにまずみる必要がある値です。
例えば
- 血圧が正常値以上であれば出血や梗塞のリスク
- 脈圧が大きければ動脈硬化
- 姿勢変換による血圧の維持ができなければ神経性の調節機構の破綻
など様々な状態を知ることができます。
血液データや心臓の機能と合わせて確認してみるようにしましょう。
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【問題】 血圧測定値について誤っているのはどれか。
1. 測定時、腕が心臓より低いと低く、高いと高く出る.
2. 温浴で低くなり、冷浴で高くなる.
3. マンシェットの幅が狭いと高く出る.
4.
運動時には収縮期圧が高くなり拡張期圧は低くなる.
――――――――――――――――――――――――――――――――――【正解】
1.
測定時、腕が心臓より低いと低く、高いと高く出る.
【解説】まず,重要なことは,血圧は,状態により変動するということと測定の仕方で変動することをしっかり認識しておくことが重要である.
正しい血圧測定は,だいたい
重力の関係で,血圧は,心臓より下方であれば,高くなり,上方であれば,低くなる.したがって,たとえば,立位で,足で測定する血圧は,高くなるし,頭部の血圧は低くなる.
血圧を調節する因子として,温度も重要である.温度が低いと血管が収縮し,血圧は上昇する.逆に,暖かいと血管が弛緩し,血圧は下降する.たとえば,急に寒い屋外に出たり,氷水に手をつけたりすると,瞬く間に血圧は上昇する.
もともと,血圧が高い人が,そんな状況になれば,ぐぐっと血圧があがり,血管がぶちきれたりする.脳の血管がぶちきれると,脳出血である.たとえば,高齢者が,寒い風呂場で裸になって,はいったりしたときに脳出血で倒れるということがおこりやすいのは,こんな理由からである.
運動時は,運動の質や量にもよるが,酸素要求量が増大し,収縮期血圧は上昇するのが普通であろう.
拡張期血圧は下がるだろうか?
実際500m泳いで,泳ぐ直前と泳いだ後で血圧を測定したことがあるが,その時は,両方ともあがったと記憶している.500m泳ぐといっても,全速力で泳ぐ場合と,ゆっくり泳ぐ場合とでは,血圧の変動の仕方も違うであろうから,なかなか難しいところがあるかもしれない.難易度 ★★ 重要度 ★★