修繕積立金の値上げ方法は?

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マンションの修繕積立金を値上げする際の進め方は?

2019年5月27日

修繕積立金の値上げ方法は?

マンション大規模修繕工事を行うための修繕積立金

マンションで大規模修繕工事を行うための費用は、居住者から徴収した、修繕積立金から支払うことになります。

しかし、大規模修繕工事の費用は必ずしも予想通りの金額で収まるとは限らず、建物の劣化状況が深刻だったときは、高額な修繕費用が必要です。

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マンションの共有部分の設備で劣化するものは?

そのため、マンションの大規模修繕を行おうとしても、修繕積立金が足りないことが分かり、慌ててしまう管理組合も少なくはありません。

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マンションの修繕積立金の値上げは適切?

修繕積立金を徴収する方法は3通り

修繕積立金の不足分を補う方法は、住民から徴収したり、金融機関などで資金を募ったりするなど、主に3通りの選択肢から選ぶことになります。

住民の修繕積立金を値上げする方法

住民から毎月徴収する修繕積立金の額を値上げして、大規模修繕工事までに、工事費用を集める方法です。

大規模修繕工事の費用がある程度予測できており、かつ、工事実施のタイミングまで猶予がなければ、この方法では不足分を回収できない恐れがあります。

住民から一時金を徴収する方法

大規模修繕工事費用の不足分を、住民から一時金としてまとめて徴収する方法です。

大規模修繕工事の実施タイミングが迫っており、月々の修繕積立金を値上げするだけでは間に合わないときには、この方法を選択しなくてはなりません。

ローンを借りる方法

管理組合名義で、大規模修繕工事のためのローンを組む方法です。

住宅金融公庫の「マンション共用部分リフォーム融資」をはじめとして、様々な建材メーカーや建築会社が、大規模修繕工事向けのローン商品を用意しています。

ローンは、一時金の徴収や、修繕積立金の値上げと並行して利用することも可能です。

ただし、適切な長期修繕計画が組まれていなかったり、返済額が修繕積立金の8割以上になったりする状態では、融資を受けることができません。

正しい修繕積立金の値上げ

現在の修繕積立額では大規模修繕工事の費用が支払えず、かつ、次の大規模修繕工事まで時間に余裕があれば、修繕積立金のを値上げを検討する必要があります。

修繕積立金の値上げは、決して珍しいことではありません。しかし、住民にとって値上げは無いに越したことはないため、なぜ値上げが必要なのか、根拠を明らかにし、時間をかけて説明する姿勢が大切です。

値上げに対する住民との合意の取り方

大規模修繕工事は、長期修繕計画に基づいて実施されます。

長期修繕計画では、マンションで補修が発生する箇所と、それぞれの補修費用や、修繕積立金の積立額を予想したものなどがまとめられています。

この長期修繕計画をしっかり管理し、定期的に内容の見直しを行って、住民が納得するデータを示すことが、合意形成のための重要なステップとなるでしょう。

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長期修繕計画の見直し費用は?5年周期で見直す必要がある?

そのほか、管理費の無駄の削減や、共用部の使い方の見直しなど、修繕積立金の無駄遣いを改善しておくことも、住民に値上げの必要性を訴えかける要素となります。

値上げが決定するまでのステップ

修繕積立金を値上げするときは、総会を開くことになります。

修繕積立金については、総会の「普通決議」で決定しなければならず、議決権の2分の1以上を得ることで、可決されます。

ただし、マンションで管理費に関する規約を別途設けている場合は、区分所有法に基づき、「規約の変更」という別のステップに進むことになりますので注意しましょう。

規約の変更は、総会の「特別決議」で可決しなければなりませんので、議決権の4分の3以上を集めなければなりません。

修繕積立金の値上がり相場は?

修繕積立金自体は、マンションの面積や住居の戸数によって異なりますが、国土交通省のデータによれば、修繕積立金は、戸あたり約11,000~12,500円が修繕積立金の相場となっています。

平米あたりでは、約150~220円が相場ですが、築年数が古いマンションほど、平米あたり約100円前後と少なくなっていきます。

値上がり額の相場としては、一気に数万円上がるケースは珍しく、住民への合意を計りながら、数千円ずつ上昇する傾向にあるようです。

例えば、次の大規模修繕工事まで約5年の猶予があるケースでは、最初の3年間は、約4,000円値上げし、次の3年間でさらに3,000円増やして、当初より7,000円値上げした金額を徴収するといった流れになっています。

また、値上がり額は、スタート時点の修繕積立金が低いほど増額率も高くなり、修繕積立金が極端に少ないマンションでは、一気に8,000~12,000円の増額が必要になることもあります。

修繕積立金の値上げ方法は?
タワーマンションの修繕積立金の値上げ相場は?

値上げは管理組合で決めることが大切

管理組合が値上げの有無を決めることは、管理会社まかせの管理体制を防ぐことにも繋がります。

悪質な管理会社の中には、中間マージンで利益を得るために、大規模修繕工事の際に建設会社と癒着して、無駄な工事を盛り込んでわざと工事費用を吊り上げ、修繕積立金の値上げを管理組合に呼びかける所もあるため注意が必要です。

管理会社に大規模修繕工事を任せないためにも、管理組合が長期修繕計画を管理し、正当な事由による値上げを行って、住民にとってもマンションにとっても、価値のある修繕を行うことが大切です。

マンションを購入した後に毎月支払うのは住宅ローンだけではありません。購入後には管理費や修繕積立金も支払わなければなりません。しかも修繕積立金は一度決まったら終わりではなく、値上げされることもあるのです。そこでこの記事では、修繕積立金が何に使われているのかを解説した上で、修繕積立金の相場や、どのような理由から値上がりするのかをご紹介します。
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修繕積立金とは何か?

マンションの場合、購入後にも月々、住宅ローン以外に管理費と修繕積立金を支払わなければなりません。簡単に言うと、管理費は共用部分の日常の管理に関する費用として、入居者が管理会社に毎月支払うものです。修繕積立金は、10年先20年先のマンションのメンテナンス・修繕に備えて入居者がその費用を、管理組合を通して積み立てていくものです。それぞれの主な用途は下記の表1を参考にしてみてください。

(表1)

管理費 修繕積立金

・管理会社への業務委託

・契約している清掃会社への業務委託費

・共用部分の清掃費、ごみ処理費

・共用設備の保守点検費

・エントランス、中庭などの植栽の維持管理費

・共用部分の消耗品費(電球交換など)

・共用部分の電気代、水道代

・共用部分に関わる火災保険料や損害保険料

・事務管理業務費(総会の案内や決議事項などの書類作成費等)

・管理組合の運営費

・外壁の改修工事費

・屋根、屋上の改修工事費

・手すりなどペンキ塗り替え費

・給排水管の取り替え工事費

・受水槽の取り替え工事費

・地震、台風など天災による被害の修繕費

・集合ポストの取り替え、駐車場・駐輪場の増設など共用部分の変更

マンションの資産性にもつながる「長期修繕計画」に基づき積み立て

修繕積立金の値上げ方法は?

今回は、この中でも、特に修繕積立金に焦点を当てて見ていきたいと思います。修繕積立金についてもう少し詳しく説明すると、長期間にわたってマンションを維持・保全していくのに必要な修繕(外壁の補修、共用部分の修繕など)を実施するために、管理費とは別会計で積み立てるものを言います。

分譲マンションなどの区分所有建物では、大規模な修繕に莫大な費用が掛かるため、一度に多額の費用を徴収されることのないよう前もって毎月一定額を積み立てていきます。積立金額は、マンションの分譲会社が分譲時に作成した「長期修繕計画」に基づいて算出したものになり、修繕の実施や積立金の運営・管理は管理組合が行います。

これらの管理体制の善し悪しがマンションの資産性を見極めるポイントの1つにもなるのです。

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修繕積立金の相場はどれくらい?

修繕積立金の相場は?

では実際、毎月の修繕積立金はどれくらい払うのが相場なのでしょうか。

国土交通省が定期的に調査している「マンション総合調査」の平成25年度版(2013年)によると、2013年の管理費の平均が月1万661円、修繕積立金の平均額が月1万783円となっています。つまり、ローン返済額以外に平均月2万1,444円の負担があることが分かります。

ちなみに、平成11年度版(1999年)の積立金の相場を見てみると、1999年の修繕積立金の平均額が7,378円でした。つまり、この15年ほどで3割以上値上がりしていることが分かります。

修繕積立金の値上げ方法は?

値上がりした理由とは

では、15年でこれほど値上がりしたのはなぜでしょう。マンションの修繕は、建物の経年劣化に対応して適時適切な修繕工事を行うことが重要です。そのためには、前述の長期修繕計画を的確に作成し、それに基づいた修繕積立金の額の設定を行うことが不可欠です。

しかし、過去、長期修繕計画をどのような様式により作成するのかのガイドラインはありませんでした。これを国土交通省が2008年に策定したのです。そのためこれに沿って長期修繕計画を見直して、改めて修繕積立金の計算が行われるようになりました。つまり、適正な金額の徴収がされ始めているということです。

修繕積立金は毎年同じ金額ではない

修繕積立金は毎月毎年同じ金額なのかというと、一概にそうとはいえません。場合によっては、徐々に高くなっていく可能性があると認識しておいた方がよいかもしれません。築年数が長ければ長いほど積立金は上がる可能性が高いようです。

大規模修繕を実施するにあたり、修繕の見積もりをとった結果、修繕積立金の見直しがされることが多々あります。大規模修繕は一般的には10年~15年おきに行われます。

また、国土交通省から公表されている「改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル」は、12年おきに行っている例が載っていますが、その場合でも大規模修繕の際に修繕積立金が見直されているので、購入時の参考に見ておくとよいかもしれません。

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修繕積立金が値上がりする5つの理由

修繕積立金の値上げ方法は?

積立修繕金が値上がりするかもしれない理由をもう少し詳しく見てみましょう。

初期設定金額が低い

1つ目は、分譲時の修繕積立金の初期設定金額が低いからというのが挙げられます。特にガイドライン作成前の中古マンションの場合、初期設定金額が適正金額より低く設定されている可能性が高く、結果として将来値上がりしてしまうのです。

値上げが決まっている段階増額積立方式

2つ目は、修繕積立金の値上げが決まっている徴収方法である場合です。修繕金の積み立て方式は、「均等積立方式」と「段階増額積立方式」の2つがあります。均等積立方式は、必要な修繕金を計画期間で割り、毎月同じ金額を払う方式です。そのため期間中は修繕積立金が変わることはありません。

しかし、多くのマンションでは後者の段階増額積立方式が採用されており、積立金が徐々に値上がりするのです。購入時に必ず支払いの説明を受けるので、しっかり確認することが大切です。

修繕費の相場が上昇

3つ目は、修繕費の相場が上昇し、それに合わせて値上がりしていく場合です。高齢化により労働人口が減り、施江職人も人手不足が懸念されており、そういった人手不足が人件費の高騰を促し、結果として修繕費の値上がりに繋がっていくという予測もあります。

修繕積立金の値上げ方法は?

当初計画になかった大規模修繕の実施

4つ目は、計画にない大規模修繕が行われる場合です。築年数が経過すれば、設備等が古くなっていくので、それに伴い大規模な修繕を行う必要があります。バリアフリー工事やグレードアップ工事は長期修繕計画に含まれておらず、積立金もないので、値上げせざるを得なくなります。5つ目は、管理会社にすべてを任せているために費用が割高になってしまうことです。こうしたことが要因となり、積立修繕金は値上がりを続けています。

値上げのタイミング

値上がりする理由がわかったところで、次は値上げのタイミングについて少し触れてみたいと思います。値上げのタイミングは、基本的にどの方式で積み立てているかで違ってきます。均等積立方式での値上げのタイミングは大規模修繕終了後になることが多いようです。計画時の見積もり以上に費用がかかったためと予測できます。段階増額積立方式の場合は数年おきに値上げのタイミングがやってきます。これは、マンション購入時に説明を受け自分たちのほうでも予定しておく必要があります。

修繕積立金の適正金額とは?

修繕積立金の平均値は先ほど紹介しましたが、それぞれのマンションの積立金の適正金額がどのくらいなのか見てみましょう。

国土交通省が発表している「マンション総合調査」によって、実際どのくらい修繕積立金の徴収をしているか、その相場をつかむことができます。完成年次別に見た修繕積立金の相場がこちらです。(表2)

(表2)

完成年次 2013年時点
平方メートルあたり月相場(円)
1969年(昭和44年)以前 253
~1974年(昭和49年) 166
~1979年(昭和54年) 163
~1984年(昭和59年) 166
~1989年(平成元年) 168
~ 1994年(平成6年) 157
~1999年(平成11年) 144
~ 2004年(平成16年) 122
~2009年(平成21年) 120
2010年(平成22年)以降 132
不明 164
全体平均 149

このデータから古い建物ほど修繕積立金が高くなっていることがわかります。これは、先ほど紹介した段階増額積立方式を多くのマンションで採用しているためです。この表から2013年(平成25年)時点でのマンション総合調査の相場をまとめると以下の通りになります。

修繕積立金の相場価格:149円/m2・月

次は修繕積立金の適正額に関して見てみましょう。

これは国土交通省が発行している「マンション修繕積立金に関するガイドライン」にて知ることができます。詳しくは割愛しますが、下記の表3、4により導くことができます。

=専有床面積当たりの修繕積立金の額×購入予定のマンションの専有床面積(m2)
+機械式駐車場の修繕工事費×駐車場数÷住戸数

(表3)

階数・建築延床面積 1m2あたりの平均値(円)

事例の2/3があてはまる

範囲(円)

15階

未満

5,000m2未満 218 165~250
5000~10,000m2 202 140~265
10,000m2以上 178 135~220
20階以上 206 170~245

(表4)

機械式駐車場の機種

修繕工事費

(1台当たりの月額)

2段(ピット1段)昇降式 7,085円
3段(ピット2段)昇降式 6,040円
3段(ピット1段)昇降横行式 8,540円
4段(ピット2段)昇降横行式 14,165円

少し例を挙げて計算してみましょう。

今回は、考え方をシンプルにするために、専有床面積当たりの修繕積立金の平均値をとり、積立金の適正額を200円/m2・月、機械式駐車場も同様に平均値をとり、1台当たり9000円/月として計算してみましょう。

専有床面積を70m2、機械式駐車場台数20台、総住戸数80戸のマンションに暮らしていると仮定します。計算式に当てはめてみると以下の通りになります。

=(200円×70m2)+(9,000円×20台÷80戸)=16,250円

これより、上記の例のマンションでは月額16,250円が月目安となります。

参照:マンションの修繕積立金に関するガイドライン(国土交通省)

(http://www.mlit.go.jp/common/001080837.pdf)

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実際に物件を探してみよう

修繕積立金の値上げ方法は?

では、実際に物件を下記リンクから探してみましょう。マンションによっては、修繕積立金や管理費の額が明示されている物件もあります。これらの金額も含めて、月々の支払いに無理がないか考えてみましょう。

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マンション修繕積立金の改定は?

専有床面積当たりの修繕積立金の目安額が増額されたことです。 1㎡当たりの修繕積立金は235円~430円、平均額は335円となっています。 10年前に制定された前ガイドラインでは165円~250円、平均額は218円でした。 1年間で28,080円の増額になります。

マンションの修繕積立費なぜ上がる?

段階増額積立方式は、マンションの建物劣化状況に応じて、5年、10年など一定期間ごとに修繕費の金額を見直します。 この方式のマンションを新築で購入した場合、初期の修繕積立金は安価で、建物の老朽化による修繕費の増加にともない、段階的に値上がりします。

管理費変更の普通決議は?

標準管理規約では,「管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法」を総会の(普通決議事項としています(48条三号,47条2項)ので,標準管理規約に準拠した規約を定めている場合には,普通決議でよいことになります。

修繕積立金 払わないとどうなる?

管理費・修繕積立金を滞納すると、マンションの住環境が悪化する恐れがあります。 共用部分の清掃や管理が行き届かなくなったり、修繕費用をまかなえず他の住人が負担しなければならなくなる可能性があるのです。